国土交通省 屋根ふき材の強風対策について 告示基準の改正へ検討開始
国土交通省は7月14日、社会資本整備審議会建築分科会の建築物等事故・災害対策部会の第27回会合を開催した。千葉県などで大きな被害を与えた2019年台風15号を踏まえ、瓦屋根の施工について、建設基準法の告示基準を改正し、業界団体のガイドライン(指針)による工法を義務付ける方針とする。
1971年に決めた建設基準法の告示基準では、軒・けらば・むねは銅線、鉄線、または釘等で緊結する必要があるが、平部はその必要はない。2001年に業界団体である全日本瓦工事業連盟、全国陶器瓦工業組合連合会、全国厚形スレート組合連合が定めたガイドラインでは、原則として全ての瓦をねじや釘で緊結することが求められている。2019年台風15号に関する調査で、被害にあった屋根の8割は瓦屋根だった。ガイドライン工法では被害なし55%に対し、非ガイドライン工法では44%にとどまっている。部位ごとの被害発生割合についてはガイドライン工法では軒・けらばは11%、むねは27%、平部は45%にとどまるが、非ガイドライン工法ではそれぞれ43%、68%、57%にのぼる。
このため国交省では告示基準を改正しガイドラインを告示基準に位置付け、新築時等に義務付ける方針とする。既存建築物の屋根ふき材の改修促進へ、既存の支援制度活用へ周知と、さらなる支援策について検討していく。沿岸部の風にも耐えられるよう国土技術政策総合研究所などで試験を実施し、将来は屋根ふき材の耐風性能の見える化を推進する。また、最新の全国規模での気象データ分析により、現行の基準風速の妥当性を検証する。